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音を伸ばしている間、何をしていますか?
音を伸ばしている時間に、どんなことを考えていますか?
リズムや音の高さを変えなくて良いという意味で言えば、とても楽な時間です。
実は、音を伸ばしている間は、特別な時間です。
伸ばしている間にも音楽はずっと動き続けています。
演奏の違いを生み出すために、音を伸ばしている時間を効果的に使いましょう。
音を伸ばしている時に考える3つのこと
- 拍子とテンポ、リズムを意識する
- cresc.するのか、dim.するのかを決める
- 終わるのか、先に行くのかをはっきりさせる。
この3つのことを、しっかりと意識して考えるようにしていきましょう。
1 、拍子とリズムを意識する
音を伸ばしている間も、テンポの流れと拍子はしっかり意識しましょう。
伸ばしている間に、テンポも拍子も感じるのを忘れ、「ただ」伸ばしている人が多いのです。
テンポが速ければ「勢いのある伸ばし」、テンポが遅ければ「穏やかな伸ばし」など、伸ばしている音にも意味があります。
設定したテンポの中で伸ばしているという意識を、いつも持っているようにしましょう。
何も考えずにただ伸ばしていた時よりも、伸ばしている音に表情が生まれます。
また、自分は伸ばしの音でも、自分以外の楽器や伴奏はリズムを演奏している場合もあります。
伸ばしの音の裏では、どんなリズムが刻まれているかが分かると、どんな伸ばしの音で演奏するかを考えることが出来ます。
2、 cresc.するのか、dim.するのか、キープするのか、考える
伸ばしている音は、cresc.(クレッシェンド)していくのか、またはdim.(ディミヌエンド)していくのか、
またはキープ(クレッシェンドでもディミヌエンドでもない)するのか
3つのどれかに分類します。
楽譜に記号で表記していることもありますが、指示がない場合には、自分で設定します。
今自分がのばしている音は、3つの性質のうち、どの音なのかをきちんと表現しましょう。
cresc.(クレッシェンド)する音であれば、音の最後に向かって、しっかりと響かせていきましょう。
dim.(ディミヌエンド)する音であれば、音の終わりに向かって、響きを落ち着かせていきましょう。
cresc.(クレッシェンド)、dim.(ディミヌエンド)どちらでもなく、まっすぐにのばす音にしたいという時もあります。
その時は、音量をキープします。
しかし、音は拍やテンポと一緒に、前に前に進んでいく性質のものです。
ですから、キープする音の性質としては、cresc.(クレッシェンド)する音と同じと考えましょう。
3 、終わるのか、先に行くのかをはっきりさせる
その音でフレーズが終わるのか、あるいはフレーズの途中なのか。
どちらなのかを確認します。
次に、上記の2「cresc.(クレッシェンド)するのか、dim.(ディミヌエンド)するのか」
と
3「終わるのか、先に行くのか」を掛け合わせてみましょう。
この場合、「キープする」は、cresc.(クレッシェンド)するに含んで考えます。
それによって、伸ばす音には次の4つのパターンがあることがわかります。
- cresc.(クレッシェンド)して曲が終わる
- cresc.(クレッシェンド)して次に進む
- dim.(ディミヌエンド)して曲が終わる
- dim.(ディミヌエンド)して次に進む
のばしの音を意識すると
長い音は、「何もしない音」「伸ばしているだけの音」ではありません。
テンポとリズム
cresc.またはdim.
メロディーの途中か終わりか
など、とても大切な要素を持っています。
演奏するときは、これらを、はっきりと表現しましょう。
のばしの音(音の最後、フレーズの最後、曲の最後)の表現を考えるようになると、表現をしっかり主張できるようになります。
テンポがゆっくりしている場面や曲でも、
「のろのろした感じ」「一本調子」「平坦」「つまらない」といった印象の演奏から、
「流れのある」「意思の感じられる」「起伏のある」「前に進む力のある」という演奏を、
作り上げることができるようになります。